禁煙外来について
ニコチン依存症を治療するのが禁煙外来です。
喫煙が様々な健康被害を及ぼすことに異論の余地はないかと思います。
でも、わかっていてもやめられないのがタバコの恐いところです。
タバコをやめられないのは決して意志が弱いからだけではありません。 タバコに含まれるニコチンには脳や身体への快楽を与える身体的依存や、ほっとする、間が持つといった精神面での心理的依存を引き起こす作用があります。
タバコを吸うとニコチンは脳にあるニコチン受容体に結合し、ドパミンが放出されます。 このドパミンが気分を穏やかにさせたり落ち着かせたりします。 しかし、しばらくすると体内のニコチンが切れて逆にイライラしてくる、これが離脱症状(禁断症状)です。 離脱症状を解消しようとしてまたタバコを吸うようになり、やがてニコチン依存症になっていきます。
このニコチン依存症を治療するのが禁煙外来です。 禁煙に対する治療は、2006年より健康保険等が適応されるようになり、一定の要件を満たせば医療費の自己負担も軽くなります。 せっかく禁煙しようと思ったのですから、成功率が高い禁煙外来を利用してみませんか?
健康保険を適用し禁煙外来を行うには以下の条件があります。
- ニコチン依存症を判定する問診で5点以上
- 1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数=200以上※35歳未満の方はこの指数に関係なく禁煙治療が出来ます
- 直ちに禁煙したいと考えている
- 説明を受けた上で禁煙治療を受けることに文書で同意している
ニコチン依存症を判定する問診
はい(1点) | いいえ(0点) | ||
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1 | 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。 | ||
2 | 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。 | ||
3 | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。 | ||
4 | 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。 ・イライラ ・神経質 ・集中しにくい ・胃のムカツキ・落ち着かない ・憂うつ ・手のふるえ ・食欲・体重増加 ・脈が遅い ・眠気 ・頭痛 |
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5 | 上の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。 | ||
6 | 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。 | ||
7 | タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。 | ||
8 | タバコのために自分に精神的問題※が起きていると分かっていても、吸うことがありましたか。 ※禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。 |
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9 | 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。 | ||
10 | タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。 |
- これ以外にも車の運転の制限や、うつ病などの治療中である場合は主治医の承諾が必要になることがあります。
- また、以前健康保険等で禁煙外来を受けたことのある方は、前回の治療の初回診察日から1年経過しないうちは保険適応は受けられません。
- 禁煙治療には、ニコチンを含まない内服薬(チャンピックス)とニコチンパッチ(ニコチネルTTS)があります。
ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)
1日1回、体に貼って皮膚からニコチンを吸収させる薬です。 タバコの代わりに薬でニコチンを補給させ、イライラなどの禁断症状を緩和させます。 貼り薬は大きさが徐々に小さくなっていきます。 最長で10週間継続します。
内服薬(チャンピックス)
ニコチンを含まずに禁煙を達成する薬です。 チャンピックスはニコチンの代わりにニコチン受容体に結合し、ドパミンを放出させイライラなどの禁断症状を緩和させます。
また、ニコチンがニコチン受容体に結合するのを邪魔することによって、タバコをおいしいと感じにくくさせます。
この2つの効果で禁煙を達成させる薬です。
基本的に12週間継続し、その間に最低5回診察を受けることになります。
診察の時に禁煙状況の確認に加え、体重の測定、呼気中の一酸化炭素濃度の測定を行います。